
ロードマップを一つずつ。ser.
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「②-⑦ プロトタイプ製造と加速老化試験」
:上記素材・プロセスを用いたプロトタイプ食品を製造し、加速老化試験(温度・放射線ストレス)で保存期間や官能品質の変化を評価。」
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ロードマップ② 「食品の保存技術の確立:
– 長期保存可能で軽量・コンパクトな食品の開発や保存技術の研究を行う。」は、全体を通して
最終的に得られた知見をベースに「ISO規格」「Artemis協定」レベルの保存食品仕様を策定し、
量産および国際共同利用に向けた設計を確定できる様にするのを
一つのゴールとして進めていきたいと思います。
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「2. 食品の保存技術の確立:
– 長期保存可能で軽量・コンパクトな食品の開発や保存技術の研究を行う。」から
ロードマップ②-⑦として。
プロトタイプ製造と加速老化試験」
:上記素材・プロセスを用いたプロトタイプ食品を製造し、加速老化試験(温度・放射線ストレス)で保存期間や官能品質の変化を評価。」
について追求していきたいと思います。
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例えや数値を交えて、ポイントごとに整理します。
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1) なぜ段階圧力(例:100 → 200 → 300 → 400 MPa)で試すのか?
要点: 段階的に圧力を上げるのは「効果(菌を減らす)」と「品質変化(食感・風味・色)」の両方を慎重に確かめるためです。
圧力の作用:HPP(高圧処理)は「ぎゅーっと押す」ことで細胞膜を壊し、微生物を不活化します。圧力が高いほど菌に効きやすい。
品質の影響:一方で、圧力が強すぎると食品のタンパク質が変化して食感やジューシーさが変わることがあります(例:肉がやわらかくなる/逆に水っぽくなる)。
段階試験の目的:
1. 最小限の有効圧力を見つける:菌を十分に減らせる「一番低い圧力」を見つけると、品質を最も守れる。
2. 圧力と時間の関係を把握:同じ効果を出すのに「より低い圧力+長い時間」か「高い圧力+短い時間」かを比較する。
3. 安全と経済性を評価:高圧は装置や容器に負担がかかるため、可能なら低圧で済ませたい。段階で確認することで無駄を減らす。
イメージ:薬を試すときにまず少量から始めるのと同じ。少しずつ上げて「ちゃんと効く範囲」と「副作用が出る範囲」を見極める感じです。
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2) なぜ最終目標は 400–600 MPa なのか?
要点: 400–600 MPa のレンジは、ほとんどの食材で「高い殺菌効果」を示しつつ、加熱を使わないため栄養や風味が保たれることが多い、業界での実績レンジだからです。
数字の意味(圧力の大きさ):
・MPa ≒ 約10 気圧(正確には1 atm ≒ 0.1013 MPa)。
・400 MPa は約 4,000 気圧相当、600 MPa は約 6,000 気圧相当。とても大きな圧力です。
なぜそのレンジが有効か:
多くの耐性を持たない一般的な細菌や多くの病原菌は、300–600 MPa の圧力で大幅に不活化されます。
400–600 MPa は「商用HPP」でよく用いられる実績レンジで、殺菌と品質保持のバランスが取れやすい場所です。
ただし注意点:
・食材によって必要圧力は異なります(硬いものや特に耐圧性のある菌はより高圧や他処理との併用が必要)。
・圧力が高くなると装置コストや安全対策(容器設計など)が急に難しくなるため、最初は低圧から評価します。
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3) 段階圧力試験で確認すること(実務観点)
微生物測定:各圧力での菌減少量(log reduction)を確認。
官能検査:食感・味・色をプロのパネルで評価。
物性測定:水分保持、テクスチャ(硬さ・弾力)、色差(ΔE)など。
工程性:処理時間、リードタイム、装置負荷、材料(容器)の耐圧性を確認。
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4) WVTR / OTR とシール強度って何?(簡単に)
WVTR(Water Vapor Transmission Rate)=水蒸気透過率
意味:包装フィルムが「どれだけ水蒸気を通すか」を示す値。単位は g/m²·day(1平方メートルあたり1日で通す水蒸気のグラム数)。
使い方のイメージ:低いほど優秀(湿気が通りにくい)。長期保存の食品には WVTR が極めて低いことが望ましい。
例:高バリア材料で WVTR < 1 g/m²·day、超高バリアで 0.1 以下という目標もある。 --- OTR(Oxygen Transmission Rate)=酸素透過率 意味:包装が「どれだけ酸素を通すか」。単位は cm³/m²·day·atm(もしくは cm³/m²·day)。 イメージ:酸素が入りにくいほど好ましい(酸化や好気性微生物を抑える)。長期保存なら OTR が非常に低いことが望まれる。 例:高バリアで OTR < 1 cm³/m²·day を目標とすることが多い。 ーーー シール強度(封止の強さ) 意味:包装の「封をした部分(シール)」がどれだけ強くくっついているか、破れないかを示す。 測定方法の例: 引張試験(剥離試験) :封を引きはがすのに何N(ニュートン)の力がいるか測る。 バースト試験 :内部を加圧して封が破れる圧力を測る。 なぜ重要か:いくらフィルム自体が高バリアでも、シールが弱ければそこから水分・空気が侵入し、意味がなくなる。HPP 等で高圧処理する場合はシール部の気密性と耐圧性が特に重要。 ⸻ 5) 実務的なチェックリスト(設計段階で必要な確認事項) 1. 段階試験計画:100/200/300/400(→必要なら500/600)MPa、各圧力での処理時間(例:1、3、5分)を組む。 2. 微生物+品質評価指標の明確化:log減少、aw、色ΔE、テクスチャ値、香気(GC)など。 3. 包装材の選定:WVTR/OTR値を確認、シール試験(引張・バースト)を実施。 4. 装置と容器の安全確認:容器の耐圧設計、シール方法(真空シール、ラミネート材)を検討。 5. スケールアップ検討:ラボ→パイロット→商用時の装置能力とコスト評価。 6. 必要な試験時間とサンプル数の設定:段階毎に十分なリプリケートで実施。 ---------------- 6) まとめ(短く) 段階圧力試験は「菌を減らす効果」と「食品の品質変化」のバランスを見つけるための必須プロセス。 400–600 MPa は多くの食品で強い殺菌効果が得られる実績レンジだが、装置・容器コストや品質影響を踏まえ、まず低圧から段階的に評価する。 WVTR / OTR / シール強度 は包装の「長期保存性能」を決める重要指標。数値が小さいほどバリア性能が高く、シールが弱いとバリアの意味が無くなるので両方を検査する必要がある。 --------- ということ事で今回はここまで。 ------------ #公邸料理人 #在外公館料理人 #伊藤のヨタばなし #宇宙調理 #宇宙食 #universe #JAXA #NASA #航空宇宙学会 #テクノロジー #technology #料理 #食思弁進化 #aRim #アリム #調理理論 #cuisine



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