N°93. [伊藤のヨタばなし] 宇宙調理に関して:宇宙調理理論  ロードマップ②-⑦-N°09(02の補足)について。

伊藤のヨタばなし


ロードマップを一つずつ。ser.
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「②-⑦ プロトタイプ製造と加速老化試験」
:上記素材・プロセスを用いたプロトタイプ食品を製造し、加速老化試験(温度・放射線ストレス)で保存期間や官能品質の変化を評価。」
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ロードマップ② 「食品の保存技術の確立:
– 長期保存可能で軽量・コンパクトな食品の開発や保存技術の研究を行う。」は、全体を通して
最終的に得られた知見をベースに「ISO規格」「Artemis協定」レベルの保存食品仕様を策定し、
量産および国際共同利用に向けた設計を確定できる様にするのを
一つのゴールとして進めていきたいと思います。
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「2. 食品の保存技術の確立:
– 長期保存可能で軽量・コンパクトな食品の開発や保存技術の研究を行う。」から
ロードマップ②-⑦として。
プロトタイプ製造と加速老化試験」
:上記素材・プロセスを用いたプロトタイプ食品を製造し、加速老化試験(温度・放射線ストレス)で保存期間や官能品質の変化を評価。」

について追求していきたいと思います。
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<補足回>

成功基準(Go/No-Go)から。

官能品質:主要官能スコアが T0 に比べて許容差内(例:平均差 ≤ 1.0)に設定理由は?

化学安定:主要栄養素(例ビタミンC)残存率 ≥ 60–70%(目標値は食品種で変える)に設定した理由は?

包装性能:WVTR/OTR とは何の事ですか?

について。

ここは、「試験で合格とみなす基準」を決める、とても大事な部分です。
宇宙調理理論では、単に「保存できた」だけでは足りず、食べられる品質か、栄養が残っているか、包装が本当に守れているかを同時に見ます。

1) 官能品質:主要官能スコアが T0 に比べて許容差内

例:平均差 ≤ 1.0 にした理由は?

T0 は「処理した直後の状態」です。
つまり、いちばん良い基準点です。

なぜ「平均差 1.0 以内」なのか

これは、ざっくり言うと
「人が食べて、はっきりまずい・別物だと感じるほどは変わっていない」
という目安だからです。

たとえば5点満点の評価で、
5点:とても良い
4点:良い
3点:ふつう
2点:やや悪い
1点:かなり悪い

とした場合、T0 が 4.5 点で、保存後が 3.6 点なら、差は 0.9 です。
これは「少し変わったけれど、まだ許容範囲」と見なせます。

逆に、4.5 点 → 2.8 点 だと差が 1.7 で、
「保存には成功しても、食事としての満足度が落ちすぎ」と判断されやすいです。

なぜ宇宙では重要か

宇宙や月面では、食事は単なる栄養補給ではなく、
士気、楽しみ、ストレス軽減にもつながります。
だから、味や食感が大きく落ちると、心理面の価値が下がるのです。

つまり、平均差 ≤ 1.0 というのは、
「栄養食品としてだけでなく、食事としても成立する」
という最低限のラインとして考えやすい基準です。


2) 化学安定:主要栄養素の残存率 ≥ 60–70% にした理由は?

ここでいう主要栄養素は、たとえば
ビタミンC、たんぱく質、脂質、炭水化物、ミネラルなどです。

なぜ 60–70% なのか

これは、「多少減っても、まだ栄養として意味がある」
という実用ラインだからです。

たとえばビタミンCは保存中に減りやすいです。
もし 100% あったものが 20% しか残らないと、
もはや「栄養補給源」として弱すぎます。

一方で、60〜70%残っていれば、かなり実用的です。
宇宙では以下のような事情があります。
• 完全に栄養をゼロ損失で守るのは難しい
• 保存期間が長い
• 温度変化や放射線の影響がある
• 輸送量を減らしたい

そのため、100点満点を求めるのではなく、実用上の合格ラインを作る必要があります。

食品種で変える理由

食品によって大切な栄養素が違うからです。
• 葉物野菜:ビタミンCや葉酸の保持が重要
• 肉や魚:たんぱく質や脂質酸化の抑制が重要
• 穀類・乾燥食品:エネルギー源としての安定性が重要

つまり、「何を守るべきか」が食品ごとに違うので、残存率の基準も変える必要があります。

なぜ 60–70% という幅があるのか

これは、食品や目的によって違うからです。
• かなり厳しい基準を置くなら 70%以上
• 多少の変化を許す実験段階なら 60%以上
というように、研究の段階や食品の種類で調整するための幅です。


3) 包装性能:WVTR / OTR とは何のことですか?

これは、包装がどれだけ外の空気や湿気を通しにくいかを表す値です。
保存食品では、ここがかなり重要です。

WVTR とは?

Water Vapor Transmission Rate の略で、
水蒸気透過率 のことです。

簡単に言うと、
包装の外から、中にどれだけ水分が入りこむか
を表します。

なぜ重要か
食品は湿気を吸うと、
• 乾燥食品がしける
• ふにゃふにゃになる
• カビやすくなる
• 味や食感が悪くなる
ので、水蒸気を通しにくい包装が必要です。

イメージ

雨の日に、傘がしっかりしていれば濡れにくいですよね。
WVTR は、その傘の性能を数値で表すようなものです。


OTR とは?

Oxygen Transmission Rate の略で、
酸素透過率 のことです。

簡単に言うと、
包装の外から、中にどれだけ酸素が入ってくるか
を表します。

なぜ重要か
酸素が入ると、
• 食品が酸化する
• 油が古くなる
• ビタミンが壊れやすくなる
• 菌が増えやすくなる
ので、酸素を通しにくい包装が必要です。

イメージ

酸素は、食品を少しずつ「老化」させる空気のようなものです。
だから OTR が低いほど、保存に向いています。


4) まとめると

官能品質
• T0との平均差 ≤ 1.0
→ 「食べて分かるほど悪化していない」目安

化学安定
• 主要栄養素の残存率 ≥ 60–70%
→ 「栄養としてまだ十分使える」実用ライン

包装性能
• WVTR = 水蒸気がどれだけ入るか
• OTR = 酸素がどれだけ入るか
→ どちらも小さいほど良い


5) 宇宙調理理論としての意味

これらは単なる食品保存の数字ではなく、
月面基地で食事を継続的に成立させるための“合格基準”です。
• 味が悪すぎると食べられない
• 栄養が落ちすぎると健康を守れない
• 包装が弱いと中身が保てない
だから、官能・栄養・包装の3つを同時に見る必要があります。

必要なら次に、
「この3つの基準を、論文本文として自然な文章に整える版」
としてそのまま使える形に整えます。
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まとめ
成功基準の設定

本研究では、月面基地における保存食品の実用性を評価するため、官能品質、化学安定性、および包装性能の三つを主要な成功基準として設定した。まず官能品質については、処理直後の状態を基準点(T0)とし、保存後の主要官能スコアがT0に対して平均差1.0以内に収まることを許容範囲とした。これは、保存による変化が一定程度生じたとしても、食味、食感、外観などにおいて、食事としての満足度を大きく損なわない水準を示すものである。宇宙環境では、食事が単なる栄養摂取にとどまらず、乗組員の心理的安定や士気維持にも寄与するため、官能品質の維持は極めて重要である。

次に化学安定性については、主要栄養素、特にビタミンCのような保存中に減少しやすい成分について、残存率が60〜70%以上であることを目標とした。これは、長期保存の過程で一定の栄養損失は避けられないものの、実用上十分な栄養価を維持するための基準である。なお、食品の種類によって重視すべき栄養素は異なるため、この基準は一律ではなく、葉物野菜、肉類、穀類などの特性に応じて調整する必要がある。

さらに包装性能については、水蒸気透過率(WVTR)および酸素透過率(OTR)を重要な評価指標とした。WVTRは包装材がどれだけ水蒸気を通すかを示す指標であり、OTRは酸素の透過しやすさを示す指標である。いずれも値が低いほど高いバリア性能を意味し、食品の乾燥劣化、酸化、風味低下、微生物増殖を抑制するうえで重要である。したがって、本研究では、保存食品の長期安定性を確保するために、これらの包装特性を十分に満たす材料設計を前提とした。

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ということ事で今回はここまで。
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