N°46 宇宙調理に関して:宇宙調理理論 ロードマップ①-②-3Ⅱについて。

伊藤のヨタばなし

ロードマップを一つずつ。ser.
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今回からは、
またロードマップ①-②の始めに戻り
[ロードマップ ①-②-3-Ⅱ]

①-②-3-⑴-α-A. 火災防護システムⅡ:
月面基地における換気や煙の管理

密閉環境の月面基地では、
通常の地球環境と異なり、火災が発生した際に
煙や熱をすばやく除去することが困難です。
そのため、以下のような対策が考えられる:

⑴循環型の換気システム:
 密閉された環境においては、
 外部に煙や空気を逃がすのではなく、
 フィルターを用いた内部循環が現実的です。
 例えば、HEPAフィルターと活性炭フィルターを
 組み合わせたシステムで
 煙や有毒ガスをろ過し、清浄な空気を再循環させます。

⑵煙の抑制と除去:
 煙の拡散を防ぐため、調理機器自体を密閉型の設計とし
 内部で発生した煙や有毒ガスを
 直接フィルターに送り込む構造にすることで、
 基地内への拡散を最小限に抑えます。
 これにより、煙が調理エリアに留まり、
 効果的に除去される設計が可能。

⑶分散型の煙感知センサー:
 煙感知器を調理エリアだけでなく、
 基地の複数のエリアに配置し、
 異常が発生した場合には
 迅速に感知・報告できる体制を構築します。
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①-②-3-⑴-α-C. 消火システムの選択

ご指摘の通り、粉末消火剤は低重力環境での散布が
危険であり、また泡消火器も低重力では
機能しづらいため、月面基地には不向き。
そのため、最適な消火システムとして以下が考えられる:

⑴ガス消火システム:
 酸素を排除して火災を抑える
 ガス消火剤(例:ハロン代替ガスや二酸化炭素ガス)が有効です。
 これにより火源周囲の酸素濃度が低下し、
 火災を即座に鎮めることが可能です。

⑵酸素供給カット機能:
 基地全体の酸素供給を調理エリアに対して
 一時的に停止することも検討されます。
 酸素供給カットは、短時間であれば
 人間への影響を抑えつつ
 火災を鎮圧するための効果的な手段となりえます。

⑶自動消火スプレー:
 調理台や調理器具周囲に設置した
 自動スプレーが火災発生時に作動し、
 ガス状の消火剤を放出することで
 即座に消火します。
 人の手を借りずに消火を行えるため、
 火災の初期対応に適しています。
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①-②-3-⑴-α-D. 火災予防のための素材選定

宇宙空間に適した素材として、
以下のような難燃性で軽量かつ丈夫な素材が考えられます:

⑴ケブラー(Kevlar):
 軽量でありながら強靭で、
 耐熱性にも優れた素材。
 調理器具の構造材としても適しており、
 火災や高温環境に強い特性があります。

⑵カーボンファイバー複合材:
 カーボンファイバーは非常に軽く、
 強度も高いですが、特に耐熱性を強化した
 「難燃カーボンファイバー複合材」も利用可能です。
 耐火性が強化されたタイプであれば
 調理器具の耐火性を高められます。

⑶セラミック素材:
 高温環境に強く、火災が発生しにくい特徴がある。
 熱や摩擦に強いセラミック加工の素材は、
 調理器具や調理場の床・壁材としても適しています。
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①-②-3-⑴-β 換気システムと煙・匂いの除去

月面基地における換気は、
外部への排気ができないため、
フィルターやエアクリーナーによる
内部循環が求められます。
具体的な換気方法としては以下が考えられます:

⑴活性炭フィルターとHEPAフィルターの併用:
 これにより、煙や匂いの原因となる微細粒子や
 有害ガスを効果的に除去できます。
 特に活性炭フィルターは揮発性有機化合物(VOC)を
 吸着する能力が高く、
 調理中の匂い除去にも適しています。

⑵静電式エアクリーナー:
 煙や微粒子を電気的に捕捉する静電フィルターを
 用いることで、定期的な清掃がしやすくなり、
 フィルター交換が少なくて済むため、
 資源が限られる月面基地において効率的です。

⑶調理機器の密閉設計:
 調理器具自体を密閉構造にし、
 発生する煙を外部に漏らさないように設計することで、
 換気負荷を低減させます。
 たとえば、調理器具に蓋を装着して
 煙が閉じ込められ、内部のフィルターでのみ
 煙を処理するようにする。
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①-②-3-⑴-γ:
エネルギー供給の安定性と代替発電技術

調理設備のエネルギー供給について、
太陽光発電は有力な候補ですが、
夜間や天候の影響を考慮したバックアップとして
以下の代替発電技術も検討されます:

⑴燃料電池:
 水素と酸素を反応させて電力を生成する燃料電池は、
 長時間の安定した電力供給が可能であり、
 再生可能エネルギーとしても注目されています。
 月面で水のリサイクル技術を併用することで、
 水素を生成し、循環的なエネルギー供給が可能になる。

⑵放射性同位体熱電機(RTG):
 RTGは宇宙探査ミッションで使用される発電技術で、
 安定した電力供給が可能です。
 放射性物質の半減期に依存するため、
 長期間にわたり安定的にエネルギーを供給できますが、
 放射線の取り扱いが必要。

⑶蓄電池技術:
 最新のリチウムイオンバッテリーや
 固体電池のような蓄電池技術は、
 太陽光発電との併用が効果的です。
 例えば、低温環境でも性能を維持できるタイプの
 バッテリーがあり、電力損失を最小限に抑えられます。

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①-②-3-⑵-α 閉鎖環境における微生物管理の課題と対策

閉鎖環境では微生物の制御が難しく、
増殖が基地全体に影響を与える恐れがあるため、
以下の対策が必要:

⑴空気の循環管理:
 空調システムを通じて
 微生物が拡散するリスクを防ぐため、
 HEPAフィルターなどで細菌やウイルスを捕捉し、
 清浄な空気を循環させる。

⑵アルコールや次亜塩素酸ナトリウムによる消毒:
 アルコール消毒や次亜塩素酸ナトリウムは、
 月面環境でも十分に効果を発揮します。
 特にアルコールは揮発しやすく、
 残留リスクが少ないため、
 閉鎖空間での使用が望まれます。

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①-②-3-⑵-α-C. 自動清掃・検査技術

月面基地内での衛生管理においては、
閉鎖環境特有のリスクが多く存在します。
特に、清掃や衛生検査の頻度や精度は、
乗組員の健康維持や安全確保に直結するため、
これらの作業を自動化することが有効です。
ロボティクスを活用した清掃や
検査の自動化技術について以下のように検討が可能です。

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①-②-3-⑵-α-C-A. 自動清掃ロボットの導入

⑴自動清掃ロボットの種類:
①床面清掃ロボット:
 床の汚れや塵を自動で除去するロボットを
 導入することで、手動清掃の手間を減らし、
 衛生を保つことが可能です。
 低重力環境で効果的に機能するために、
 吸引力や摩擦の調整が重要です。

②壁面や天井清掃ロボット:
 月面基地内の壁や天井に付着する汚れも、
 衛生管理の観点で定期的な清掃が必要です。
 低重力の影響を受けにくい吸着式のロボットを開発し、
 垂直面や天井での清掃を自動化することが考えられます。

③調理器具や調理台専用の清掃ロボット :
 調理エリアの細かいスペースや調理器具、
 調理台などの清掃も、
 専用の小型ロボットで対応することが考えられます。
 拭き掃除や吸引、ブラッシング機能を持ち、
 調理中に発生する食品残渣や油分の除去を行う。

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⑵清掃技術の工夫:
①静電除去 :
 月面の環境では、静電気により粉塵が付着しやすいため、
 清掃ロボットには静電気除去の機能が求められます。

②抗菌コーティング:
 清掃ロボット自体が菌を運ばないように、
 抗菌コーティングやUV殺菌ランプを内蔵し、
 ロボットの表面を清潔に保つ仕組みも有効。
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⑶低重力下での安定性確保:
①月面の低重力環境では、
 ロボットの重量や動作バランスが
 大きく異なるため、特別な設計が求められます。
 例えば、重心を低くした設計や
 安定性を高めるためのセンサー制御などが考えられます。

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①-②-3-⑵-α-C-B. 衛生検査の自動化システム

⑴微生物レベルの検査システム:
⑴センサーによる自動検査:
 空気中や調理台の表面における微生物の検出には、
 バイオセンサー技術が有効です。
 これにより、細菌やウイルスの存在を
 リアルタイムで検知し、
 異常値が確認された場合には
 即座に警報を発することができます。
 NASAが研究している「オンボード・リアルタイムバイオモニタリング」技術の応用が期待される。

②自動サンプリング:
 特定のエリアにおいて定期的にサンプリングを行い、
 培養やDNA解析によって微生物の種類や量を
 特定することが可能です。
 ロボットによるサンプリングと解析のプロセスを
 自動化することで、乗組員の手を煩わせることなく
 衛生チェックが行えます。

⑵AIによるデータ分析と異常検知:
①AI解析:
 蓄積された検査データをAIで解析し、
 衛生レベルの変動を予測・評価する。
 異常な変動があれば、
 事前に清掃や消毒が行われるように
 自動でアラートを発信します。

②異常値のフィードバック:
 異常が検知されたエリアに対して、
 清掃ロボットが自動的に対応するシステムも有効です。
 これにより、衛生リスクを即座に排除することが可能です。

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①-②-3-⑵-α-C-C
:UVライトやオゾンによる殺菌機能の自動化

⑴UVライトの自動使用:
調理が行われていない時には、
 UVライトを調理エリアや収納エリアで
 自動的に照射し、殺菌を行うシステムが有効。
 人がいない際に自動でUVライトが点灯することで
 常に衛生環境を維持できる。

⑵オゾン発生装置:
オゾンは強力な殺菌効果を持つため、
 オゾン発生装置を利用して調理エリアや
 保存エリアの空気を浄化します。
 オゾンの使用は人がいない時間帯に自動的に行い
 その後に換気を行うことで、
 衛生環境の維持が可能です。

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①-②-3-⑵-α-C-D.
:定期的なスケジュールに基づく自動化

⑴:清掃・検査のスケジューリング:
自動清掃ロボットや検査システムには、
 スケジュールを組み込むことで、
 日々の清掃・検査が自動で行われる仕組みを導入します。
 これにより、人的な作業が減り、
 確実に衛生環境を保つことが可能です。

⑵リモート制御とモニタリング:
地球からのリモート操作や
 基地内のモニタリングシステムにより、
 必要に応じて清掃や検査の指示を
 遠隔から送ることができるようにする。
 また、異常が検出された場合には、
 地球の管制センターや基地内のコンピュータが
 連動して迅速な対応が可能となります。

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以上が、「自動清掃・検査技術」に関する考察です。
これにより、月面基地内での衛生管理の効率化と、
乗組員の健康リスクを低減することが期待できる。

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①-②-3-⑶:水分・空気の管理に関する設計

①-②-3-⑶-α:水の使用とリサイクル

既に前述の通り、調理エリアで使用される
水のリサイクルは非常に重要です。
水は地球からの補給に頼ることなく、
限られた量を繰り返し再利用することが求められます。

①-②-3-⑶-α-A. 水分回収装置:
 月面基地内で調理エリアから蒸発する水分を効率的に回収し、
 浄化して再利用するシステムの設置が必須です。
 具体的には、湿度センサーで蒸発水分を検知し、
 専用の収集システムで回収。
 その後、フィルターや紫外線殺菌、
 逆浸透膜技術などを活用して水の浄化処理を行い、 
 再利用可能な状態に戻すといった方法が考えられます。

①-②-3-⑶-α-B. 節水型の調理法:
調理における水の消費を抑えるためには、
 水を多く使用する煮る・茹でる調理法を極力控え、
 代わりに蒸し調理や真空調理などの
 水分消費が少ない方法が推奨されます。
 これにより、水分使用量を抑えることができ、
 リサイクルシステムへの負荷も軽減できる。
 現行のISSでも実験的に行われている
 低水分調理技術を応用することが考えられる。

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①-②-3-⑶-β:空気の質の管理

月面基地の空気は貴重な資源であり、
基地内で発生する煙や匂いを除去し、
空気の質を保つことが非常に重要です。
これは、居住者の健康維持に直結する課題です。

①-②-3-⑶-β-A. 脱臭フィルターや空気清浄機:
 調理エリアに脱臭フィルターや
 空気清浄機を設置し、調理中に発生する匂いや煙を
取り除くことが重要。
 現時点で使用が検討できるフィルターとしては、
 活性炭フィルターやHEPAフィルターがあります。
 特に、活性炭フィルターは匂い分子の吸着に効果が高く、
 NASAでも地上のシミュレーション実験で
 高評価を受けている技術です。
 また、静電式や光触媒を利用した空気清浄機も候補に入る。
 これにより、基地内の空気をクリーンに保つことができます。

①-②-3-⑶-β-B. 酸素供給・二酸化炭素除去システム:
 調理中には酸素が消費され、
 二酸化炭素が発生します。
 そのため、調理エリアには酸素供給システムと
 二酸化炭素除去システムの設置が必要です。
 現行のISSで使用されている技術としては、
 酸素生成器(電解式酸素生成)と、
 二酸化炭素除去装置(吸着式)があり、
 これらの技術を月面基地でも応用することが考えられます。
 特に、二酸化炭素吸着装置には
 リチウムハイドロキシドなどを使用する方式が有効で、
 リサイクル可能なカーボンフィルター技術も利用できます。
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①-②-3-⑶-γ:湿度管理

月面の乾燥環境は基地内の湿度調整において
課題をもたらします。
調理中に発生する水蒸気を効果的に利用し、
基地内の適切な湿度を維持することが必要です。

①-②-3-⑶-γ-A. 調理過程で発生する湿度の調整:

 調理中に発生する水蒸気によって、
 基地内の湿度が上がりすぎると結露のリスクが生じます。
 この結露は電子機器や建材の劣化を引き起こす可能性があるため、
 湿度センサーを利用してリアルタイムで湿度を監視し、
 過剰な湿度を除去するための除湿システムが必要。
 特に、デシカント式除湿装置が
 月面環境に適応しやすいと考えられる。

①-②-3-⑶-γ-B. 水蒸気の再利用:
 調理中に発生した水蒸気を回収し、
 浄化した後に他のエリアでの加湿に再利用することで、
 湿度管理と水のリサイクルを同時に達成します。
 このようなシステムにより、
 水資源を効率的に利用しながら、
 快適な湿度環境を基地内で維持することが可能です。

以上が、月面基地における調理施設の水分・空気の管理に関する設計の続きです。
また次回、次なる項目について進める。

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