N°87. [伊藤のヨタばなし] 宇宙調理に関して:宇宙調理理論  ロードマップ②-⑦-N°03(02の補足)について。

伊藤のヨタばなし

ロードマップを一つずつ。ser.
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「②-⑦ プロトタイプ製造と加速老化試験」
:上記素材・プロセスを用いたプロトタイプ食品を製造し、加速老化試験(温度・放射線ストレス)で保存期間や官能品質の変化を評価。」
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ロードマップ② 「食品の保存技術の確立:
– 長期保存可能で軽量・コンパクトな食品の開発や保存技術の研究を行う。」は、全体を通して
最終的に得られた知見をベースに「ISO規格」「Artemis協定」レベルの保存食品仕様を策定し、
量産および国際共同利用に向けた設計を確定できる様にするのを
一つのゴールとして進めていきたいと思います。
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「2. 食品の保存技術の確立:
– 長期保存可能で軽量・コンパクトな食品の開発や保存技術の研究を行う。」から
ロードマップ②-⑦として。
プロトタイプ製造と加速老化試験」
:上記素材・プロセスを用いたプロトタイプ食品を製造し、加速老化試験(温度・放射線ストレス)で保存期間や官能品質の変化を評価。」

について追求していきたいと思います。
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補足回
各用語と「なぜその値/レンジなのか」を説明します。
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1. コールドプラズマ表面殺菌とは?
何か
:プラズマは“電気で作った特殊な空気”のこと。
空気を強く電気的に刺激すると、
電子やイオン、活性酸素などがたくさんでき、
それが細菌の外側を壊して死滅させます。

「コールド」って?
:温度が高くならない(=食品を熱で壊さない)タイプのプラズマ。

30–120秒の理由
:短時間(数十秒)で表面の細菌を十分に叩けるからです。
:すぎると菌が残る。長すぎると食品の表面が傷んだり乾燥したりする可能性がある。
:実務では「安全に菌を減らせる最小時間」をまず探し、通常は30秒〜2分の範囲で効果と品質のバランスをとります。
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2. エディブルコーティング(キトサン系)とは?
:食品の表面に塗る「食べられる膜(コーティング)」のこと。
 食品の水分や酸素の出入りを減らしたり、表面での菌の増殖を抑えたりします。

キトサンとは?
:カニやエビの殻から取れる天然の成分で、抗菌性(菌を抑える力)があり、
 食品に安全に使えることが多い素材です。

どう使うか
:薄い液にしてスプレーや浸漬で塗り、乾かすだけ。コーティングは目に見えないくらい薄いです。

利点:水分が逃げにくくなる、表面の菌が増えにくい、素材によっては風味も長持ち。
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3. MAP(低O₂ / 高CO₂)とは?
:「Modified Atmosphere Packaging」の略。食品の包装内の空気の成分を変える方法です。

低O₂(酸素少なめ)・高CO₂(炭酸ガス多め)にする理由
:酸素は多くの菌や野菜の呼吸に必要 → 減らすと菌や野菜(の呼吸)が遅くなる
:二酸化炭素(CO₂)は多くの微生物の増殖を抑える効果がある
例:葉物の袋の中を窒素で置き換えたり、CO₂を増やすことで鮮度が長持ちします。
注意:食品の種類によって最適な組成は違う(葉物と肉では違う)。
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4. PEF(電界パルス処理、例:15–25 kV/cm、エネルギー最適化)とは?
:「パルス電場(Pulse Electric Field)」で、食品(主に液体や軟らかい物)に短い強い電気の一撃を与える処理です。

どう効くか
:細胞(植物や微生物)の膜に小さな穴を開けてしまい、菌を死滅させたり、
 食品の中の組織を柔らかくしたりできます。

15–25 kV/cmとは何?
:kV/cm は「電圧の強さ」を表す単位(キロボルト/センチメートル)。
 数値が大きいほど強い“電気の一撃”です。
:このレンジは液体食品の処理でよく使われ、効果的に菌にダメージを与えつつ、
 熱で食品を壊さない範囲として実験的に多く採用されています。

エネルギー最適化
:同じ強さでもパルス数やパルス幅を変えると効果や電気使用量が変わるので、
 必要な効果を得る“最小の電気量”を探します。
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5. 高バリアパウチ:「ナノコンポジット層」と「ポリアニリン含浸」とは?
高バリアパウチとは
:中の食品を空気(酸素や水蒸気)や光から守る特別な包装袋です。
 長持ちさせるには、外からの水や酸素が入らないことが重要。

ナノコンポジット層
:「ナノ」とはとても小さい粒子(ナノ粒子)。それらをプラスチックの膜に混ぜると、
 ガスが通る“通路”が曲がりくねって通りにくくなり、酸素や水蒸気が通りにくくなる。
・イメージ:ストローで水がすぐ通るけど、迷路を作ると水が進みにくくなる、という感じ。

ポリアニリン含浸
:ポリアニリンは機能性のある高分子(プラスチックの一種)で、
 薄くコーティングすると酸素や光を遮る性質を持たせられることがあります。
:「含浸」というのは、フィルムの表面に薄く染み込ませる(コーティングする)こと。
 導電性やバリア性を付けたいときに使われます。
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6. 色(ΔE)のΔEとは?
:色がどれだけ変わったかを数値で表す指標です。

どう見るか
:ΔE = 0 なら色は全く同じ。
:ΔE が大きいほど人の目で「違う」と感じる色の変化が大きくなる。
:一般的に ΔE が 1–2 だとほとんど気づかれず、
 3 以上で「違う」と感じやすい、という目安があります。

用途
:試験で包装や保存処理のあとに色がどれだけ変わったかを数値化するために使います。
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7. 風味成分(GC)とは?GC(ガスクロマトグラフィー)とは
:食品の香りを作る小さな分子(揮発性成分)を分けて測る装置のこと。

何がわかるか
:例えばトマトの「フレッシュな香り」を作る物質や、
 劣化して出てくる嫌な匂いの物質を、種類と量で調べられます。

どう使うか
:処理前後でどの香り成分が減ったり増えたりしたかを測り、風味の変化を客観的に判断します。
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8. (HPP 100→400 MPa段階)はなぜ100→400 MPaなのか?

HPPとは?
:High Pressure Processing(高圧処理)の略。水などで食品をぎゅーっと高い圧力で押して、
 菌をやっつける方法です。熱を使わないので食品の味や栄養を壊しにくいのが利点。

100→400 MPa の意味
:MPa(メガパスカル)は圧力の単位。
:100 MPaはかなり大きな圧力だが、食品の殺菌効果は圧力が上がるほど大きくなる。
:**段階評価(100→200→300→400)**で試すのは、
 安全性(どの圧力で十分菌が減るか)と品質(圧力が強すぎると食感が変わる)を同時に調べるためです。

なぜ400 MPaまでやるのか?
:実務では 200–600 MPa の範囲でよく使われますが、
 まずは中間の 300–400 MPa あたりで「菌を十分減らせるか」「味や食感が許容できるか」を評価するのが
 一般的だからです。

イメージ:圧力を強くするほど「菌に効くが、食べ物に変化が出る可能性がある」。だから段階で調べる。
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まとめ(ポイント)
コールドプラズマ:電気でつくった“冷たい火花”で表面菌を短時間でやっつける(30–120秒は効果と品質のバランス)。

キトサンのエディブルコーティング:食品を覆って水分・菌の侵入を抑える、天然由来の抗菌膜。

MAP:袋の中の空気の成分を変えて鮮度を保つ(酸素少なめ、二酸化炭素多め)。

PEF:短い強い電気を当てて細胞を壊す。液体食品に有効。数値は“電気の強さ”。

高バリアパウチ(ナノ+ポリアニリン):空気や水を通しにくくして保存性を上げる特殊包装。

ΔE:色の違いを数字で表す。3以上で人が違いに気づきやすい。

GCによる風味評価:香りの成分を専門の分析で測る。

HPP 100→400 MPa:段階的に圧力を上げて「菌を減らす効果」と「食べ物の変化」を調べる。

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ということ事で今回はここまで。
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