N°88. [伊藤のヨタばなし] 宇宙調理に関して:宇宙調理理論  ロードマップ②-⑦-N°04(02の補足)について。

伊藤のヨタばなし

ロードマップを一つずつ。ser.
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「②-⑦ プロトタイプ製造と加速老化試験」
:上記素材・プロセスを用いたプロトタイプ食品を製造し、加速老化試験(温度・放射線ストレス)で保存期間や官能品質の変化を評価。」
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ロードマップ② 「食品の保存技術の確立:
– 長期保存可能で軽量・コンパクトな食品の開発や保存技術の研究を行う。」は、全体を通して
最終的に得られた知見をベースに「ISO規格」「Artemis協定」レベルの保存食品仕様を策定し、
量産および国際共同利用に向けた設計を確定できる様にするのを
一つのゴールとして進めていきたいと思います。
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「2. 食品の保存技術の確立:
– 長期保存可能で軽量・コンパクトな食品の開発や保存技術の研究を行う。」から
ロードマップ②-⑦として。
プロトタイプ製造と加速老化試験」
:上記素材・プロセスを用いたプロトタイプ食品を製造し、加速老化試験(温度・放射線ストレス)で保存期間や官能品質の変化を評価。」

について追求していきたいと思います。
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補足回
「加速老化試験(温度/湿度)」について簡潔に実務で使える形で説明します。
最後に「設計のチェックリスト」の提示も。

まず結論
:食品の加速老化試験でよく使われる「代表値」は 40℃ ±2℃ / 75% RH ±5% です(医薬品や多くの安定性試験での慣行)。

:「55〜60℃の強加速」は短期間のスクリーニングや寿命を早く知りたい時に使うことがあるが、注意が必要(高温でしか起きない化学変化が起きてしまい、現実の劣化挙動を正しく反映しないことがある)。

:加速試験の設計や解釈には、ASTM や ICH のガイドラインなど「やり方のルール」があり、それに従うのが実務では安全で説得力がある。
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用語のやさしい説明(例え付き)
Q:なぜ 40℃ / 75%RH がよく使われるの?
イメージ:普通の部屋(約25℃)をちょっと暑い日(40℃)にして、湿度も高めにすることで
時間を短くして「たくさんの時間が経ったとき」と同じような劣化を起こさせるためです。

実務ルール(ICHなど)で医薬品の加速条件として40℃/75%RHが標準として広く使われており、
これに従えば規制当局や共同研究者に説明しやすい、という利点があります。

Q:「必要に応じて 55–60℃ を使う」とはどういう意味?
:55–60℃はさらに強く“早く壊す”ための温度です。イメージは「サウナのさらに上」。

いつ使うか(=“必要に応じて”の意味)
:製品が**非常に長期保存(数年)**を想定していて、実験を早く終わらせたいとき。
:早期スクリーニングで「どの処理が全然ダメか」を素早く落とす段階。

注意点
:高温では「現実の保存で起きない化学反応(別の劣化機構)」が起きやすく、
 本来の劣化メカニズムと異なる結果になることがあります。
 だから短期間だけ/確認として使うのが一般的です。

Q:ICH / ASTM の慣行とは?
ICH(国際医薬品規制調和会議)
:薬の安定性試験の国際ルールをまとめたガイドライン。
 加速条件(40℃/75%RH)などが定義されているため、医薬分野では標準的に使われます。

ASTM(米国試験材料協会)
:医療機器や包装などの加速老化に関する実務ガイド(たとえば ASTM F1980)があり、
 特に包装や器械の寿命評価で参照されます。
 食品分野でも「考え方(Arrheniusや加速因子)」は参考になります。
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少しだけ理屈(でもわかりやすく)
加速の考え方
:温度を上げると化学反応は速くなる(分子がよく動くから)。
 一般に**「10℃上がると反応速度が約2倍」**という経験則(Q10 ≈ 2)を使うことが多い。
 これを使うと、「40℃に6か月置いたら常温で何年に相当するか」をざっくり推定できます。
 ただしこれはあくまで近似で、正しいかは実験で確認する必要があります(反応の種類によって違うため)。

重要な注意点
:加速条件が「本物の劣化メカニズムと同じ」ことが前提です。
 高温すぎると別の壊れ方(例:熱で変性してしまう)が起きてしまい、
 実際の保存と結びつかなくなるため、高温は「短期確認」「スクリーニング」に限定する、という運用が安全です。
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実務での「設計ルール(中学生でも実行イメージできる)」
1. まずは代表条件で行う
:40℃±2℃ / 75%RH ±5% を6か月(医薬の慣行)程度回す。これで基礎データを取る。

2. 常温のリアルタイム試験も並行
:加速だけでなく、25℃/50–60%RHでの長期データ(リアル)も必ず取り、加速予測が正しいか検証する。

3. 強加速は短期のみ
:55–60℃は短期(数日〜数週間)に留める。
 そこで得た結果は「候補外/優先候補」の選別に使うが、最終の寿命判定には使わない。

4. 複数のストレス因子を組み合わせる
:温度+湿度だけでなく、光や放射線(宇宙向け)も考慮する。
 宇宙用途では放射線ストレスを別試験で付加するのが大事(実環境に近づけるため)。

5. 劣化の“原因”を確認する
:化学指標(例:酸化度)、微生物、色(ΔE)、風味(GC)など複数指標を見て、
 「どの現象が劣化原因か」を突き止める。加速で出た変化がリアルと同じなら、加速試験は有効。
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具体的な判断フローチャート(簡単)
1. 目的を決める
:寿命を厳密に出すか(→40℃/75%RH+リアル)、素早く候補を絞るか(→55–60℃短期スクリーニング)。

2. 試験セットを作る
:Standard(40℃/75%RH)+ Real-time(25℃等)+ Optional(55–60℃短期)。

3. 評価指標を決める
:微生物、aw、色ΔE、主要栄養素、香気(GC)など。

4. 加速結果とリアル結果を突き合わせる
:もし劣化メカニズムが同じ → 加速から寿命推定 OK。違えば再設計。
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まとめ(短く)
:40℃/75%RH は「標準的な加速条件」。まずここで試すのが確実。
:55–60℃は短時間の“早見”用。長期間の代表値としては使わない(別の劣化が出る危険がある)。
:ICH(医薬)やASTM(包装・器具)などのガイドに沿って設計すると、国際的に説明しやすく信頼性が高まる。
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ということ事で今回はここまで。
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